DELF B2 作文試験(Production écrite)完全攻略ガイド

「DELF B2の作文試験が不安…」「どうやって準備すればいいの?」このような悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。

本記事では、DELF B2の作文試験(Production écrite)に焦点を当て、効果的な対策法と合格のためのコツを詳しく解説します。

目次

DELF B2 作文試験の概要

試験の基本情報

DELF B2の作文試験(Production écrite)は、総合点100点中25点を占める重要なセクションです。試験時間は約1時間で、与えられたテーマについて自分の意見を論理的に展開する能力が問われます。

出題形式

一般的に以下の2つの形式のうち1つが質問として出されます。

  • 形式1: 意見文(Essai argumenté) 社会問題や時事問題について、賛成・反対の立場を明確にして論理的に意見を述べる文章(250語程度)
  • 形式2: 公式文書(Courrier formel) 特定の状況を想定した公式の手紙やメール(抗議文、要望書、応募書類など)を書く課題(250語程度)

どちらの形式も、語数制限(250語前後)があり、これを大幅に超えたり下回ったりすると減点対象となります。

この記事では、エッセイ(Essai argumenté)について書いていきます。

評価基準

作文は主に以下の観点から評価されます:

  • 課題を理解しているか

指示に従って適切に課題を遂行できているか。手紙を書く設問に対しては、手紙の体裁を取って書く必要があります。

  • 論理的に書いているか

文章の構成が論理的で一貫性があるか。導入→本論→結論の構成で書かれているか。

  • 語彙力

正確な語彙を使用できているか。同じ単語をなるべく使わない、接続詞を使うなどを意識しましょう。接続法も入れると、ベターです。

  • 文法の間違いが少ないか

難しい構文の文章を無理して書く必要はないです。それよりも短い文章で、正確な文法で書くことで評価が高くなります。

効果的な準備方法

基本的な文章構成を学ぶ

フランス語の論理的文章には、決まった構成パターンがあります:

  • 導入(Introduction) – テーマの提示と問題提起、自分の立場の明示
  • 本論(Développement) – 2〜3つの主要な論点を展開
  • 結論(Conclusion) – 論点のまとめと最終的な見解の提示

この「導入・本論・結論」の三部構成を意識して文章を組み立てる練習をしましょう。

この型に沿って書くことが一番大切です。実際に、参考書などを使って解答例を写経することをおすすめします。

接続詞・論理関係を示す表現を習得する

論理的な文章を書くためには、以下のような接続詞や表現が必須です:

  • 対比を示す表現: en revanche, par contre, cependant, toutefois, néanmoins

※mais「しかし」ばかりを使わないようにしましょう。

  • 原因を示す表現: car, parce que, puisque, étant donné que
  • 結果を示す表現: donc, par conséquent, ainsi, c’est pourquoi
  • 例示を示す表現: par exemple, notamment, en particulier
  • 付加を示す表現: de plus, en outre, par ailleurs, également

これらの表現を使いこなせると、文章の論理性と読みやすさが格段に向上します。

微妙なニュアンスの違いを抑えることも大事ですが、同じ接続詞を使わない意識を持って、複数の表現を使いましょう。

時事問題に関する語彙力を強化する

DELF B2では、環境問題、テクノロジー、教育、健康、社会問題などの時事トピックが頻出します。これらの分野の基本語彙を押さえておきましょう。

  • 環境問題: le réchauffement climatique(温暖化), le développement durable(持続的発展), la pollution(汚染)
  • テクノロジー: les réseaux sociaux(SNS), l’intelligence artificielle(人工知能)
  • 教育: 学校教育、家庭教育、テクノロジーを使った教育
  • 健康: ワークライフバランス、ストレス、不眠など

AIと教育や、子どもにいつからスマホを与えるか、子どもはSNSを使うべきではないか、などAIやテクノロジー絡みの文章が多い印象です。

参考書にある文章やニュースサイト、読解問題などを大量に読んで単語や言い回しに慣れていると自分でもフランス語で書けるようになります。

次の参考書はB2レベルの文章を読むのに役立ちます。

効果的な文章作成のコツ

準備時間を有効活用する

試験開始後、すぐに書き始めるのではなく、10分~30分程度の時間を使って以下の準備をしましょう:

  • 課題文を注意深く読み、何が求められているかを正確に理解する

手紙なら誰に向けて、何を要望するために書くのか。書く私が置かれている立場を意識しましょう。

  • 自分の立場を決める(賛成・反対など)
  • 主要な論点を2〜3つ考え、メモする

試験時には、下書き用の紙が用意されます。その紙に賛成意見・反対意見それぞれ書き出してみましょう。

  • 各論点を支える具体例や根拠を考える

具体的を書くことで説得力やフランス流の「書き方」がわかっていると見られます。

  • 簡単な文章構成の下書きを作る

下書きに文章構成から意見を書いてみましょう。私は、下書きに一回すべて書いてから本番用紙に作文しました。

導入 (Introduction) の書き方

効果的な序論は読み手の関心を引き、文章全体の方向性を示す重要な役割を果たします。

  • 一般的な事実や現状認識から始める
  • 課題内容に関連する問題提起をする
  • 自分の立場や主張を明確に示す

例:「近年、インターネットの普及により、若者のコミュニケーション方法は大きく変化している。SNSの利用が増加する中、実際の対面コミュニケーションが減少しているという懸念が生じている。本稿では、SNSが若者の社会性に与える影響について考察し、その利点と欠点を分析した上で、バランスの取れた使用方法を提案したい。」

De nos jours, la manière de communiquer des jeunes a beaucoup changé, puisque le développement d’Internet a transformé notre façon de vivre et d’échanger. Les réseaux sociaux occupent une place de plus en plus importante dans leur quotidien, et cela semble parfois réduire les échanges en face à face, ce qui peut inquiéter certains. Je voudrais m’interroger sur l’impact que peuvent avoir les réseaux sociaux sur la sociabilité des jeunes, en analysant leurs avantages et leurs inconvénients, puis en proposant une manière plus équilibrée de les utiliser.

近年、最近などを表す単語で書き始めましょう。

Aujourd’hui 今日
De nos jours 最近では
Ces dernières années ここ数年で
Actuellement 現在、今まさに

議論を始める言い回しを使いましょう。

Je voudrais m’interroger sur… 自分の考察を始める丁寧な導入。
On peut se demander si… 問いかけを導入する柔らかい言い方。
Je vais tenter d’analyser… 自分の立場を明示しつつ、分析の意図を伝える。

発展に関する言葉も色々知っていると便利です。

le développement d’Internet インターネットの発展・開発
l’engouement pour Internet インターネットへの熱狂
la généralisation d’Internet インターネットの普及

本論の書き方

本論では、論点を明確に示し、それぞれを論理的に展開します。

  • 段落構成: 1つの段落には1つの主要な論点を配置する
  • トピックセンテンス: 各段落の冒頭で論点を明確に述べる
  • 具体例: 抽象的な主張だけでなく、具体例や数字を示す
  • 反論の想定: 必要に応じて反対意見にも触れ、それに対する反論を展開する

ポジティブな意見とネガティブな意見のそれぞれ2つのパラグラフを作りましょう。

その1つのパラグラフ毎に、3つほど、そのポジティブ(もしくはネガティブな)意見を根拠付ける理由や例を書いていきます。

例:「まず第一に、SNSは若者に新たな交流の機会を提供している。例えば、地理的な制約を超えて共通の興味を持つ人々とつながることができる。あるフランスの研究によると、定期的にSNSを利用する若者の65%が、オンラインで知り合った人と実際に有意義な関係を構築しているという。」

結論の書き方

結論では、これまでの論点をまとめ、最終的な見解を示します。

  • 本論で展開した主要な論点を簡潔に要約する
  • 自分の立場や主張を再確認する
  • 可能であれば、より広い視野や将来の展望に言及する

例:「以上述べてきたように、SNSは若者のコミュニケーションに大きな変革をもたらした。新たな交流機会の創出という利点がある一方で、対面コミュニケーションの減少という課題も存在する。重要なのは、デジタルツールを適切に活用しながら、実際の人間関係も大切にするバランス感覚を養うことだろう。教育機関や家庭でのメディアリテラシー教育が、今後ますます重要になると考えられる。」

作文試験で使える具体的な表現集

序論で使える表現

  • De nos jours, … (現在では、…)
  • Actuellement, la question de … suscite de nombreux débats. (現在、…の問題は多くの議論を引き起こしている)
  • La problématique de … est au cœur des préoccupations actuelles. (…の問題は現代の懸念事項の中心にある)
  • Dans cet essai, je me propose d’analyser… (このエッセイでは、…を分析したいと思う)

本論で使える表現

  • Tout d’abord, … / Premièrement, … (まず第一に、…)
  • En outre, … / Par ailleurs, … (さらに、…)
  • Cependant, il convient de noter que… (しかし、…に注意すべきである)
  • À titre d’exemple, … (例として、…)
  • Contrairement aux idées reçues, … (一般的な考えとは逆に、…)

結論で使える表現

  • En conclusion, … / Pour conclure, … (結論として、…)
  • En somme, … / En définitive, … (要するに、…)
  • Il ressort de cette analyse que… (この分析から、…ということが明らかになる)
  • Il est donc légitime de penser que… (したがって、…と考えるのは妥当である)

実践練習のためのテーマ例

以下のテーマで練習してみましょう:

  • 環境問題: Les transports en commun gratuits peuvent-ils être une solution efficace pour lutter contre la pollution dans les grandes villes? (公共交通機関の無料化は、大都市の汚染と闘うための効果的な解決策になり得るか?)
  • 教育: L’enseignement à distance est-il aussi efficace que l’enseignement traditionnel en classe? (遠隔教育は従来の教室での教育と同じくらい効果的か?)
  • テクノロジー: Les réseaux sociaux contribuent-ils à renforcer ou à affaiblir les liens sociaux? (SNSは社会的つながりを強化するのか、弱めるのか?)

よくある間違いと対策

文法・語彙の間違い

  • 性数一致の誤り: 形容詞や過去分詞の性・数一致に注意
  • 時制の不一致: 文脈に適した時制を使う
  • 冠詞の誤用: 定冠詞・不定冠詞・部分冠詞の使い分け
  • 前置詞の誤り: 動詞に続く正しい前置詞を覚える

構成上の問題

  • 一貫性の欠如: 論点が散漫になったり、矛盾したりしないよう注意
  • 論理展開の不足: 主張と根拠をしっかり結びつける
  • 具体例の不足: 抽象的な議論だけでなく、具体例で説明する

本番試験での時間配分

60分の試験時間を効果的に使うための目安:

  • 課題理解・構想:10分 – 課題を読み、アイデアをメモし、構成を考える
  • 下書き作成:35分 – 序論・本論・結論を書く
  • 本文書き写し:15分 – 文法・語彙のミス、論理的一貫性をチェックしながら書き写す

B2の筆記試験は時間がギリギリでした。後で見直そうと思っていましたが、下書きをしたものを書き写して時間終了となってしまいました。

まとめ

DELF B2の作文試験は、フランス語で論理的に意見を述べる能力を測るものです。以下のポイントを意識して準備を進めましょう:

  • 基本的な文章構成(導入・本論・結論)を習得する
  • 論理関係を示す接続詞や表現を積極的に使う
  • 時事問題に関する語彙を増やす
  • 定期的に練習し、添削を受ける(ネイティブの先生に依頼しましょう)
  • 本番では時間配分を意識して取り組む

継続的な練習と適切な準備を通じて、DELF B2の作文試験に自信を持って臨みましょう。Bonne chance! (頑張ってください!)

このブログを運営している人

フランスワーホリ、フランス大学院進学、現地就職を経験しました。このブログで、経験したことや知っていることをアウトプットしていきます。

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